
シンプルな布に、ひと針ずつ想いを込めることで特別な表情になる刺繍。洋裁のようにミシンや広いスペースが必要なく、糸や枠などを仕舞うカゴひとつあれば気軽に始められます。
たとえば、市販のハンカチやエコバッグに、イニシャルや好きなモチーフをワンポイント刺繍するだけでも楽しい。自分のものはもちろん、身近な人に少しだけ特別なものを贈る楽しみも広がります。
★主な作品はこちら
刺繍は手芸のなかでもハードルが高いと思うかもしれませんが、実は基本のステッチをいくつか覚えるだけで、魅力的な作品づくりができます。
装飾性の高い「フランス刺しゅう」のほか、衣類をおしゃれに繕うダーニングや、日本の刺し子など実用を兼ねそなえたものも。パンチニードルといった手軽な技法も人気で、刺繍の世界も進化し続けています。
ヨーロッパの貴婦人の手仕事にルーツがあるといわれる「フランス刺しゅう」。多彩な表現が可能で、刺繍の基本とされています。
また、初心者さんにも始めやすいのが、クロスステッチ。名前の通り布に糸をクロス(×)させながら、こつこつと刺していきます。それぞれに奥深い魅力があるので、つくりたいもののイメージや、自分に合う技法を少しずつ探っていきましょう。


「フランス刺しゅう」の技法は、運針のようなランニングステッチを筆頭にシンプルなものがほとんど。難易度が高そうなデザインも、実は簡単なステッチの組み合わせで構成されていることが多いのです。
何色もの糸を使い絵画的な表現をすることもあれば、白地× 白糸で陰影を表現するホワイトワークと呼ばれるものも。家庭科の授業で習ったことがあるという人も多く、懐かしさとともに、そのルーツから優雅なイメージもあるフランス刺しゅう。大人になった今こそ、新鮮な気持ちで取り組めそうです。



ヨーロッパのアンティークリネンなどにもよく見られるクロスステッチは、古くて新しい、普遍的な魅力があります。布のマス目を× で埋めていくだけなので、シンプルでわかりやすく、刺繍デビューにぴったり。いろいろなステッチを組み合わせる必要がないので、挫折することなく続けられます。
民族衣装を始め、暮らしのなかで愛されてきたクロスステッチは、世界中にさまざまな図案が存在するのも魅力。鳥や花、幾何学模様など、国や文化の違いによりモチーフに個性が出ます。フランスの赤糸刺繍など、単色で刺していくものもおしゃれです。



初めてトライするときは、1~2色の糸を使ったシンプルなモチーフがおすすめ。単色の糸でも、布地の色との組み合わせでがらりと表情が変わるおもしろさがあります。
刺しゅう糸はメーカーによっては400 種類以上の色があり、ニュアンスのある好みの色からイメージを広げても。植物や動物はもちろん、テキスタイルを思わせる幾何学模様、ときには意外性のあるモチーフに挑戦するのも楽しい。慣れてきたら、このステッチはあれを表現するのにぴったり!と自分なりのアイデアも浮かんできます。
日頃から自然を観察したり、刺繍の本、Pinterest( ピンタレスト)などのアプリを使って作品づくりに活かしましょう。




刺繍を趣味にすることで、インテリアやおしゃれに自分らしさをプラスできます。シンプルなブラウスの襟に、毎日使うリネンクロスに、ブックカバーに……。すき間時間を活用して、せっせと手を動かすことで無心になれるので、マインドフルネスや癒しの効果も。
自信作ができたら、Instagram(インスタグラム)などのSNS に投稿して手芸仲間と交流したり、いいね!をもらうことでモチベーションUP。オリジナルまたは商用利用可能な図案を元に小物に仕立て、ハンドメイドマーケットなどで販売しても。刺繍作家として活躍できるかも? と夢が広がります。

初心者さんにも始めやすい、フランス刺しゅうの道具をご紹介。最低限必要なのは、刺しゅう針、刺しゅう枠、糸切りばさみの3つだけ。プラス、図案を写す道具として転写紙とトレーサー(ボールペンでも代用可)があればベターです。刺しゅう糸と布を準備したら、さっそくはじめましょう!

最低限の道具は先に紹介した3 つ(★印のもの)ですが、刺繍を一層楽に、簡単にしてくれる、あると便利な道具や材料(☆印のもの)について(ポーチ等に仕立てる時も含めて)詳しくご紹介します。
刺しゅう針は、針の太さや長さ、針穴の大きさによって番号や号数がついています。クロバーの製品の「フランス刺しゅう針No.3 ~ 9 取合せ」の場合はNo.3 が最も長くて針穴も大きく、No. が大きくなるほどに短く針穴も小さくなります。
刺しゅう糸は針穴に入ればどの糸でも使用可能ですが、一般的によく使われるのは25 番刺しゅう糸。コットン100%の6本取の糸で、糸の本数を変えることで幅広い表現ができ、色数が豊富であることが特徴です。
この他、あたたかみがあり、ふっくらした刺繍の表現が可能なウール刺しゅう糸、ナイロンやキュプラなどの繊維で作られるラメ糸なども販売されています。
フランス刺しゅう針No.3~9 取合せ、よく使用されるのはNo.3、No.7 ですが、ご自身の使いやすい針サイズを選んでください。
(糸の本数参考:No.9 は1 本、No.8 は1~2本、No.7 は2 ~ 3 本、No.6 は3 ~ 4 本、No.5 は4~5 本、No.4 は5 ~ 6 本、No.3 は6 本以上)

刺繍用の布には、ツイル、シーチング、オックスフォード、コングレス(こぎん刺しやクロスステッチ用の布)などがありますが、目の詰まった薄手~普通地の布で針が通るものならOK。
素材は綿(コットン)や麻(リネン)が定番で、中でも平織りの布は針の通りが良いのでおすすめです。平織りとは縦糸と横糸を交互に交差させて織るベーシックな布で、綿布だとシーチングやオックスフォードなどがあります。



最小限の道具でも刺繍はできますが、お助けアイテムを揃えることで作業スピードも上がり、より完成度の高い仕上がりに。初心者さんにもおすすめのアイテム、トップ7をご紹介します。
1本に細/太の2つのペン先があり、細かな図案を写す時に重宝。六角形のペンが持ちやすく、長時間の作業をするときも、負担をやわらげてくれます。
軽量で、メガネの上からもかけることができ、跳ね上げもできるルーペ。手元がクリアーに見えるので、デリケートで細かな作業もはかどります。
最近の新商品で、従来の青とピンクに加え、紫が仲間入り。印自体は水で消えますが、紫だとさらに目立ちにくいので、白や生成りの生地にも安心です。
刺しゅう糸がなめらかに通る糸通しです。糸が針穴を通るときの抵抗が少なく、糸が傷みにくいのがうれしい。
刺しゅう枠を机に固定して作業ができるため、両手がフリーに。360度回転も可能で、裏の始末のときにも便利です。両面を見ながら刺繍するオートクチュール刺繍や、パンチニードルに重宝しているという声も。

広範囲に刺繍する場合など、刺しゅう枠からはみ出た周囲の布を、このミニクリップでとめておくことで作業がぐっとしやすくなります。
スモッキングと呼ばれる、洋服などにギャザーを寄せる刺繍の道具です。ドットの穴で等間隔に印を付けることができるので便利。子ども服にスモッキングを施すなど、気軽に楽しめます。
必要な道具と材料を揃えたら、さっそく刺繍してみましょう。刺繍の工程の流れは下記の1~6 の順ですが、基礎ステッチなどを動画でも詳しく紹介します。
布の上にチャコピー、図案の順で置き、トレーサーで図案をなぞる。

25 番刺しゅう糸の場合、6 本取りの糸から必要な糸の本数を引き出し、糸の本数に適した太さのフランス刺しゅう針の針穴に通す。
生地のサイズにあった刺しゅう枠を選び、内枠の上に生地をおき、外枠をすっとはめて枠のネジを締めて固定する。
刺しはじめの少し先から、玉結びした糸端が表側に出るように針を刺し、刺しはじめから糸を出して1針めを刺す。糸を割るように2針めを刺して1針めを固定する。玉結びの糸をカットして抜いておくと裏側もきれいな刺しはじめになります。
裏側に玉結びを作って刺しはじめてもOK。
指先に水をつけ印になじませ、ハギレを折った先などでこすりとる
※なるべく刺繍部分に水がかからないように注意
刺しゅう枠をはずしアイロン台にタオルを置き、裏面からアイロンをかける
※なるべく刺繍部分を避ける
フランス刺しゅうとクロスステッチを使った、刺繍レシピをご紹介。クロバー製品のカラフル刺しゅう枠や、くるみボタンセット活用することで、作品を枠ごと飾ってインテリアにしたり、ブローチにしておしゃれに取り入れてみませんか?

受験や部活でがんばっている大切な人へ、手づくりお守りでエールを。満開の桜やスポーツのモチーフを、応援メッセージとともにアップリケ+刺繍で表現。手縫いのひと針ひと針が、「応援しているよ」の想いを伝えます。
ふっくらとしたお花が愛らしい、リボン刺しゅうのブローチです。図案はビオラ、マーガレット、ラベンダー、バラ、ミモザ、スズランの6種類。くるみボタン・ブローチセットを使うので、仕立ても簡単です。
新幹線、ショベルカー、スペースシャトル……さまざまな「乗り物」をクロスステッチで表現してみませんか?まん丸やオーバル型のクロバー「くるみボタン」を使えば、オリジナルブローチが完成します。
芸能人やユーチューバーにも人気のパンチニードルやフリースティッチングは、専用の器具でプスプスと刺すだけでスピーディに作品が完成! 余った刺しゅう糸や毛糸も使えるので、T シャツや小物のワンポイントにぴったり。まずはイメージ動画で、手軽さや楽しさを感じてみましょう。

ふわふわ、もこもことした質感が楽しいパンチニードルは、お絵描きする感覚で刺繍ができる優れもの。専用のニードルに毛糸や刺しゅう糸を通し、図案に沿ってプチプチと刺していくだけ。ミニマット、コースター、ワッペンなどの小物があっという間に完成します。慣れてきたら少し時間をかけて、ラグマットなどにもぜひトライを。
ぷっくりした質感がかわいい、フリーステッチング。イラストを描くように専用のニードルでプチプチ刺していくだけで、スピーディに刺繍小物が完成。 失敗したかな?と思っても、糸端を抜くと簡単にやり直せるので、初心者さんも気軽にトライできます。慣れてきたら、ライン+ ループなどステッチの組み合わせを楽しんでも。
刺繍の楽しさをぜひ体験してください。